恋時雨。

神崎春馬の席につくと、夏樹がどいてどいてー、と周りにいた女子を散らした。

するとめぐが、
「ねぇ、神崎くん！私宮下めぐって言うの。宜しくねぇ！」
と、いつもより可愛い声で言った。

すると、夏樹も
「私は相川夏樹。宜しくっ！」
と爽やかに挨拶した。

それを聞いて、神崎春馬は、少し間をあけてから、
「ああ、宜しくな。」
と手短かに言った。

すると、何故かまた私は神崎春馬と目が合った。今度は、はっきりと。

すると、神崎春馬はにこりと目だけで笑ってきた。
周りの女子がざわめき出す。

私は、どうしていいかわからず、
「…三好結衣です。宜しく。」
と言ってみると、

「うん。知ってる。さっきは有難う。」

と言ってきた。

え？なんで知ってるんだろう…と思っていると、周りから、何それ、どういうこと、と少し冷たい物言いで質問される。

「え、それは…。」

と私が戸惑っていると、

「さっき、道を教えてもらっただけだから。」

と言ってくれた。

すると女子達は、なんだー、よかったー、と言った。
正直、助かった。女子から恨まれるのは辛い。