恋時雨。
…ん、でもなんで名前を知ってるんだろう…。
夏樹とめぐが神崎春馬と話している間、私の頭はそんなことでいっぱいで。
「あんな人、知り合いだっけ…。」
と記憶を探すけど、全く思い出せない。
数分して、終わりを知らせるチャイムがなった。
神崎春馬の周りにいた女子たちが、ばらばらと去っていく。
夏樹とめぐも、いこ〜と言ってきたので戻ろうとした。
と、突然。
ぐいっと私の腕が引かれ、神崎春馬との距離が近くなった。私が驚いていると、
「放課後、教室に残って。」
と耳もとで囁かれる。
私は、いち早くこの状況から逃げたくてわかった、と言って無理やり手を解くと、自分の席に全力で逃げた。