恋時雨。

チャイムが鳴ると同時に今日へ戻った私は、自分の席につく。

結局、あれからふらふらしていたら、学校の裏に花壇を見つけて、眺めていると時間がギリギリになってしまい、走って帰ってきたので息が上がってしまった。


ふと気づくと心なしか、教室がいつもより静かだった。…まあ、何故かは予想が付くけど。

…ん？あれ？

さっきのひと、もしかしたら？
なんて、さっきの違和感からまた予想してみる。なんか、合ってる自信がものすごくあった。
さっきなんで気づかなかったんだろ。

そんなことを考えていると、突然、ガラガラと音を立てて扉が開いた。
先生がはいってきて、今日は転校生がいるぞと言う。

その声に合わせて、1人の男子生徒が姿を現した。

さらさらした黒髪は少し長めで、目は切れ長。スッと通ったはなに、形のいい唇。

クラスが一瞬にしてざわめいた。
私は、さっきの予想当たったな、と思った。

クラスのざわめきが収まらない中、先生に自己紹介を促された彼は、少し間を開けてから、チョークで黒板に名前を書く。

『神崎 春馬 』

と。
そして、さっき聞いた低い声で、名前を名乗った。

クラスからは、やっば神崎くん噂以上なんだけど！、だよねだよねー、なんて女子からの黄色い声援で溢れかえる。

そして、彼が自分の席に着くために歩み出したとき、なぜか私と目があったような気がした。