不器用なシンデレラ
10、キスは媚薬
 相手が自分に覆い被さって来る。

 半分抵抗するのも諦めて目をつぶって身構えると、突然襖がパアンと大きく開く音がした。

「それ以上この子に近づいたら、あなたの首飛びますよ」

 いるはずのない理人くんの声がした。

 これは幻聴だろうか?

 都合のいい夢でも見てるんじゃないだろうか?

 でも、目の前にいるのは確かに理人くんで・・・・。

 来てくれた。

 本当に来てくれた。

 彼は凄い殺気を身にまとっていて、少しでも触れたらパックリ皮膚を切りそうな鋭利な刃物みたいに危険な感じがした。

 これは・・・怒ってるとかいうレベルじゃない。

 切れて普段の冷静さを失っている?

 こんな理人くんは見た事がない。

 理人くんが部長さんの首根っこを掴んで私から引き離す。

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