不器用なシンデレラ
「却下。取りあえず、身の回りの物だけ纏めて」

「え?でも、ここの大家さんは知り合いで家賃も凄く安いの」

「でもじゃない。夜に銭湯なんて通わせられない。誰かに襲われたらどうするの?俺だってずっと花音を見てられるわけじゃない。こんな生活してたら今日みたいなことは何度も起きるよ。家賃の心配なら家に来ればいいだろ?もう花音専用の部屋をお袋が用意してるし」

「そんな甘えられないよ」

「甘えて良いんだよ。もっと俺を頼れよ。そんなに俺は頼りない?」

「そ・・そんな事ない。でも、一度頼ってしまったらずるずる甘えちゃうよ」

「俺に内緒で引越しされるよりずっといい」

「それは・・謝るけど、言ったら怒るでしょう?」

「俺はね、雅代さんに花音を守るって約束したんだ。その約束俺に破らせる気?」

「・・・・」
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