不器用なシンデレラ
 会う度に言われるこのセリフ。

 きっと一生私は逃れる事が出来ない。

 私が背負う十字架はあまりに重くて、こうして罵られる度に死にたくなる。

 父の代わりに私が死ねば、母と詩音は幸せに暮らせたのに。

「ママも一緒に帰ってきたけど、あんたの顔は見たくないって。当然よね?私だってこれ以上は一緒にいたくないし、顔も見たくない。3分が限界ね。今夜の夕食のセッティング忘れるんじゃないわよ!」

「わかった・・・」

 私が小さく呟くと、詩音は虫けらでも見るような目で私を見た。

「うじ虫。うじうじしてて目障り。あんたが私の双子の姉なんてね、他人には恥ずかしくて言えないわ!」

 吐き捨てるように言うと、詩音は立ち上がって出て行く。

 5年ぶりに会いに来た理由が金の無心。
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