不器用なシンデレラ
「やあ、鷹野。今これから花音ちゃんと帰るとこ。帰る場所がなさそうだから、今夜は俺のとこに泊めるね。心配しなくてもお前のものには手を出さないから」

 本田さんは私を困らせるのが楽しいのか、嬉々とした顔で口からでまかせを言う。

「本田さん!」

 私はスマホを取り返そうとするが、身長が違い過ぎて手が届かない。

「あっ、切れちゃった」

 テへっと笑いながら本田さんが私にスマホを返す。

「なんで勝手に出るんですか!」

「だって、出ないから。鷹野だって出ないと心配するでしょう?」 

「余計ややこしくなります!誤解されたら・・・。花音ちゃんだなんて今初めて言いましたよね?」 

「なら、今夜は鷹野の家に帰りなよ。今は鷹野の家にいるんでしょう?」 

 本田さんは意地悪だ。 

 私が理人くんに会いたくないのを知ってて言うのだ。

「駄目です。帰れません」 

「意外と強情だよね。鷹野が心配する気持ちもわかるなあ。もう一回かけ直す?」
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