不器用なシンデレラ
 本田さんがまた私の手からスマホを奪おうとするので、慌ててバックの中に閉まった。

「嫌です!」

「じゃあ、今夜はうち泊まって、明日の見合いに出て。良いよね?あっ、客室は内側から鍵かかるし、シャワーもトイレもついてるから。大丈夫、襲わないよ。そんな身体中に鷹野の印ついてるんだもん。鷹野に殴られたら嫌だしね」

 にっこり微笑む悪魔がここにいた。

 親切な顔をした性の悪い悪魔。

 でも、この悪魔にノーとは言えなかった。

 理人くんは、きっと私がレストランに現れなかったから電話してきた。

 でも、詩音との食事はどうだったんだろう?

 私みたいな子と食事するより楽しめたんじゃないだろうか?

 詩音は私より頭の回転も早いし、海外生活も長くて話題も豊富だ。
 
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