不器用なシンデレラ
 見合い相手は本田さんの言葉に絶句していたが、私は本田さんの嘘に呆れていた。

 見合い相手のお嬢さんとその母親は憤慨して席を立つ。

「せめて一緒に食事どうですか?」

 本田さんがにっこり微笑むと、そのお嬢さんは今度は本田さんをキッと睨んだ。

「する訳ないでしょ!」 

 肩を怒らせながらその女性は去っていく。

「ああいう我が儘そうな女はごめんだね」

 本田さんが酷評する。

「・・・本田さんて、意外と性格悪いというか、結構冷たいんですね」

「変な女と結婚させられたら地獄だよ。自分の身は守らないとね。せっかく来たことだし、何か食べて行こうか」

 本田さんはメニューを見て何を頼むか考えている。

「切り替え早すぎてついて行けません」

 私はそんな本田さんを見て軽く溜め息をついた。
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