不器用なシンデレラ
 そんな感傷に浸っていると、私の左隣にいつの間にか長谷部さんが座っていた。

「いい飲みっぷりね。私お酒大好きなのよ。今度一緒に飲みに行きましょう!」

 真っ赤な顔をしながら長谷部さんが私のグラスにビールをつぐ。

 すでに出来上がってるようだ。

「長谷部さん、私はお酒はあまり・・・」

「ほらほら、ぐいっといっちゃいなさい。ぐいっと」

 長谷部さんの目が据わってる。

 これも飲まなきゃいけないのかな。

 思わず溜め息が出る。

 諦めてグラスを口に運ぼうとしたその時、右腕を掴まれた。

「お前、それ以上飲むな。顔真っ青だぞ。長谷部さんも山下さんに絡むのはもうやめて下さい」 

「御曹司だからってあんた偉そう。私の方が先輩よ!」

「先輩なら先輩らしく振る舞って下さい」
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