不器用なシンデレラ
「そんなの幼稚園の頃から知ってる。でも、それが花音だろ?俺にはそんな花音が可愛いく見えるけど」

 そう言って理人くんは優しく微笑むと、私の涙を指で拭った。

「・・・理人くんってきっと目がおかしいんだよ」

「そんなこと言うなら、俺がどれだけお前がいい女か証明してやる」

「・・・・」

 なんか似たようなセリフを最近聞いたような気がする。

「他の奴にこれ以上お前の泣き顔見せられないし行くよ」

 理人くんが私の手を引いてレストランを出て、ホテルのエレベーターに向かう。

「待って、どこに行くの?」

「このホテルのスイート」

 理人くん悪びれずに答える。

「そんな高いとこ駄目だよ。本田さんに怒られちゃう」 

「良いんだよ。俺がこの一晩どんな気持ちだったかわかる?本田さんが好きなのは長谷部さんって知ってたけど、花音を泊まらせるって聞いた時は気が狂いそうだった。責任取ってよ」
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