不器用なシンデレラ
「こんにちは」 

 理人くんが笑顔で微笑むと、園児たちも笑顔で彼を迎える。

 その時、彼と視線が合って思わず赤面した。

 園児の前で理人くんに会うなんて恥ずかしい。

 しかも、不意打ちだ。

 理人くんは園児一人一人に持ってきた風船と、外国土産らしい可愛いパッケージのお菓子を渡していく。

 しばらくボーッと見ていると、彼が口を開いた。

「花音も手伝って」

「ああ、ごめんなさい」

 慌てて紙袋に入ったお菓子を園児に渡していく。

 なぜ理人くんがいきなり幼稚園に現れたのかわからないまま。

 園児全員に行き渡ると、なぜかみんな「王子さま、ありがとう」と男の子までもがそうお礼を言う。

 それを聞いた理人くんは苦笑していたが、気を取り直して私に言った。

「花音、久々に一緒にピアノ弾こう」

「・・・うん」
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