不器用なシンデレラ
「私は花音ちゃんと仲良くしたいだけ。御曹司は邪魔すんな」 

「だったら素面の時にお願いします」

 理人くんが軽く長谷部さんをあしらった時だった。

 胃から何かが込み上げてくる感覚。

「うっ・・気持ち悪い」

 手でとっさに口を押さえる。

「大丈夫か?」

 理人くんに声をかけられるが、全然大丈夫じゃない。

 口を開けば大変なことになる。

 今すぐ吐きたい。

 彼の質問には答えず立ち上がってトイレに行こうとするが、ふらふらして歩けなかった。

 もう我慢出来ない。

 そう思った時、理人くんに抱き上げられお座敷を出て廊下まで運ばれた。
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