不器用なシンデレラ
 同じ会社に入っても部署が違えば会うこともほとんどないのに。

 新人研修では班も違ったし、もう廊下くらいでしか会わないだろう。

 そう思ってた。

 会わなければ、きっとこの胸のもやもやからも解放されると信じていた。

 だが、神は・・・いや、親父は俺の神経を逆なでするのが好きらしい。

 新人の配属先が発表された時、営業部に俺と花音の名前があった。

「・・・嘘だろ?」 

 思わず頭を抱える。

 大学時代の先輩である本田さんの部署に配属されるのは嬉しいが、花音が一緒とは・・・・。

 しかも、配属されてから席は隣で顔を合わせないわけにはいかない。

 はっきり言って花音には営業は向いてない。

 電話にはおっかなびっくりっといった感じで応対するし、受注書もまともに入力出来ない。
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