不器用なシンデレラ
 新人というのを考慮しても目に余る。

 そして、結局最後には俺は花音を無視できず、注意してしまう。

 本田さんのようにもっとソフトに言えばいいのに、刺々しい口調になってしまう。

 わかってはいても直せない。

 自分でもなぜなのかわからない。

 だが、本田さんはそんな俺の異変に気づいたようだ。

「冷静じゃない鷹野なんて初めて見る。原因は山下さんか?」

 珍獣でも見るような目で本田さんが俺を見る。

 この人は凄く勘がいいし、頭も良い。

 誤魔化しはきかないと思い素直に頷くと、本田さんは笑った。

「お前にもそういう子いたんだな。安心したよ。今のお前の方が人間らしくて好きだな」

「同性に好きと言われても嬉しくないですよ」

「あはは、僕もそっちの趣味はない。山下さんもお前の事好きそうだし、早く告れば?うちの課でも狙ってる奴いるぞ」

「・・・・」

「鳶に油揚げさらわれても知らないよ」
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