不器用なシンデレラ
「長谷部さん、私はお酒はあまり・・・」

 注がれたグラスを見て花音の表情が暗くなる。

 顔色もかなり悪い。

 赤を通り越して青くなっている。

 やっぱり飲めなかったのか?

 このままじゃマズイ。

 だが、長谷部さんはそんな花音に気づかない。

「ほらほら、ぐいっといっちゃいなさい。ぐいっと」

 花音が溜め息ついてグラスを口に運ぼうとした時、グラスを持っているその手を掴んだ。 

「お前、それ以上飲むな。顔真っ青だぞ。長谷部さんも山下さんに絡むのはもうやめて下さい」 

 酔っぱらいに言っても無駄とは思いながらも、長谷部さんを注意する。

「御曹司だからってあんた偉そう。私の方が先輩よ!」

 長谷部さんが不機嫌になり、今度は俺に絡んでくる。
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