不器用なシンデレラ
「これは・・・成人式の?」

 それは、クリスタルの写真立てに入っている俺の写真。

 棚の一番目立つところに飾られていた。

 隠し撮りだからカメラ目線ではない。

「どんだけ俺が好きなの、お前は」

 額を手で押さえると、なんだか笑いが込み上げてきた。

 花音に聞こえないよう小声で笑う。

「負けた。お前には負けた。もう全面降伏する」

 振り返って花音の寝顔を見つめながら呟く。

「圭吾ごめん。やっぱ、こいつは譲れない」

 空に向かって言い、花音に顔を近付けてその額にそっと口づける。

 過去の呪縛から解き放たれた瞬間だった。
 
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