不器用なシンデレラ
「お前、今まで何してた?」

 俺の声でびくんと花音の身体が震えるのがわかる。

 だが、ここでこいつを甘やかすのは良くないと思った。

 新人とはいえもう社会人なのだから。

「A社とのアポは4時。今はもう6時だ。お前は数千万の契約パーにする気か?」

「・・・すみません」

 花音は俯いたまま唇を噛み締めている。

 頭を撫でてやりたい気持ちを封じて、さらに彼女を責めた。  

「すみませんで全てが解決する訳じゃないんだよ。お前、何でうちの会社入ったの?」

「・・・・」

「俺はお前のフォローするために、ここに就職した訳じゃないんだけど」 

「・・・ごめんなさい」

 花音の目には涙が溜まっていた。

 ここまで俺が言えば、他の奴も納得するだろう。
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