不器用なシンデレラ
「・・・・お前って平気で人の急所突くようなあ。彩・・長谷部とは幼馴染みだけど、今はいわゆるセフレってやつでさ。どこで間違ったのか」 

 本田さんが頭をポリポリとかく。

 こんな暗い雰囲気の彼はあまり見たことがない。

「間違ったなら正せばいいでしょう?それこそ、そのうち鳶に油揚げさらわれますよ」

「そうなんだけど、一度間違えると修正するのは難しいんだよな」

「そんな弱音、本田さんらしくないですよ」

「俺らしくないか。確かにな。山下さんには後で会うんだろ?今日の契約の事伝えといて。泣いてなきゃいいけど」

 本田さんが寂しそうに笑う。

 この人もきっと辛い恋をしてるのだろう。

「ええ。俺がかなりキツイ事言いましたからね。100%泣いてますよ」 

 きっと昔みたいに目を真っ赤にして泣いて、今頃まぶたがパンパンに腫れてるんじゃないだろうか。
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