不器用なシンデレラ
「理人くん・・・何で?」

 花音の声がかすかに震える。

「雅代さんに電話して聞いたら多分ここじゃないかって。園長先生もお前のこと聞いたらすぐにここに通してくれた」

 花音の顔をよく見ると、案の定、目が凄く腫れていてひどい顔をしていた。

 目はまだ赤い。

 どれだけ泣いたのだろう。 

「花音は何かあるとピアノに縋るだろう?」

「・・・・」

「理由も聞かずに頭ごなしに怒って悪かった」

 花音の目を見つめながら、俺は謝る。

 それからA社の契約の話をし、新しい携帯も花音に渡したが、やはり彼女の顔が気になって彼女の頬に触れた。

「・・・それにしても・・・ひどい顔だな」

「・・・・」

 花音が目を見開いたまま硬直する。

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