不器用なシンデレラ
「目、スッゴく腫れてる。お前、泣きすぎ」

 フッと微笑しながら優しく言うと、花音の目からポロポロと涙が零れだした。

 彼女のように純粋でキレイな涙。

 そんな花音も可愛いと思えてしまう俺は、かなり病気かもしれない。 
「泣き虫、花音」

 花音が愛おしくてしばらく見つめると、彼女の肩をそっと抱き寄せた。 

「お前、また俺のスーツ駄目にするなよ」

 クスクス笑いながら言うと、花音はちょっと恥ずかしいのか俯いた。

 伝わるお互いの体温。

 その温かさに安堵する。

 彼女にこうして触れられる自分は幸せなのかもしれない。

 だからこそ、絶対に手放してはいけないと思った。

 花音が落ち着くと、2人手を繋いで俺の家に帰った。

 玄関に入るとお袋がそんな俺達を見て笑顔で出迎える。

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