不器用なシンデレラ
「まあ、花音ちゃんいらっしゃい。待ってたのよ。今ね、雅代さんとお茶を飲んでたの。すぐに食事の用意するわね。理人、花音ちゃんをバスルームに案内してあげて」

 お袋は一目見て、状況を察したらしい。

 確かに、今の花音見たら何があったのか聞きたくもなるか。

 腫れた目を少し冷やして、化粧直しすれば誤魔化せるだろうか?

 そんな事を考えていると、お袋が耳打ちしてきた。

「例のもの用意出来てるわよ」

 お袋が優しく微笑する。

 いつも以上にご機嫌だ。

「ああ、ありがとう」

 花音と一緒に家の中に入ると、お袋の勧め通りバスルームに連れて行った。

「雅代さんも心配するといけないから、ここで化粧直してったら?」

「うん、ありがとう」

 花音は俺の顔を見るのが恥ずかしいのか、下を向いている。


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