不器用なシンデレラ
 そんな自分を責めて、本当は1人になりたくないのに1人になりたがってる。

「花音、俺は雅代さんと約束したんだ。お前をひとりぼっちには出来ない。もう我慢するな。思いっきり泣いていい」

「・・・・」

「今のお前は1人じゃ泣けないだろう?」

 だが、俺がどんなに優しく言っても、こういう時に限って花音は拒絶する。

「・・・私・・行かなきゃ」

 俺といるのが辛いのか、花音が俺から離れようとするが離さなかった。

「行くってどこへ?」

「病院の支払いとか・・・この後おばあちゃんと家に帰っていいのか聞いてこなきゃ・・・あとこういう時何をすればいいんだっけ?」

 花音が困惑した表情で力なく笑う。

 ああ、もう無理しすぎだ。

 こんな時ぐらい俺に頼ればいいのに。
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