不器用なシンデレラ
「大丈夫。全部手配してる。もう少ししたら、葬儀屋が来て雅代さんを家まで運んでくれる。そしたら、一緒に帰ろう」

「ごめんね、ありがとう。でも、もういいの。大丈夫だから。自分の家くらいちゃんと帰れるよ」

 花音がへらへら笑いながら俺から離れたが、すぐにバランスを崩した。

 そんな彼女をすぐに支え、俺は花音の目を見て真顔で言った。

「これのどこが大丈夫なの?」

「ちょっと、よろけただけ。本当に大丈夫だから。ふふふ」

 花音の笑いが止まらない。

 明らかにおかしい。

「・・・・」

 雅代さんが死んで頭が混乱してるのか?

 見ていて辛かった。

 こんな花音、見たくはなかった。
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