不器用なシンデレラ
 親友の圭吾が亡くなった時、俺はショックで2-3日ほとんど食事をせず、眠れなかった。

 あの楽天家のお袋が心配するほどに。

 でも、花音が失ったのは一緒に暮らしている親同然の祖母だ。

 父親だけでなく祖母までも・・・・・。

 その悲しみは計り知れない。

 運命は残酷だ。

 どうしてこんなにか弱い花音からこんなに奪っていくのだろう。

「せめて眠っている時だけでも、現実を忘れて」

 優しい夢を彼女に・・・・。

 花音の額にそっと口付ける。

 すると、彼女の頬から一筋の涙が零れた。

「大丈夫。俺はずっと側にいるから」

 だから、今は何もかも忘れて眠って・・・・・。
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