不器用なシンデレラ
「そうだけど、携帯ちゃんと持っておけよ。何度も連絡したのに不通じゃ心配するだろ」
 
 花音に近づき彼女の頭をコツンと軽く叩くと、彼女は俺から目線を外して謝った。

「ごめんなさい」

 それからずっと花音が俺を避ける態度を取り続けるから、俺の中で何かがブチッと切れた。

 自分でも冷静さを失っているのはわかった。

 ゆっくり待つつもりだったが、そっちがその気なら俺はもう本気でいく。

「逃がさない。もう誰にも譲る気はないから」

 圭吾が生きてたとしても、もう絶対に渡さない。

 もう我慢しない。

 大学の4年間、よく俺は花音なしで生きてこれたと思う。

 いや、ただ無気力のまま適当に日々過ごしていただけだ。

 見るもの全てが退屈で、俺にとっては白黒の世界で。

「・・・何の話?」

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