不器用なシンデレラ
 花音がそんな俺に少し怯えているのがわかったが、もう止めてやんない。

「花音は知らなくていい。もう黙って」

 冷たく言って花音に顔を近づける。

 そして、彼女の唇に自分の唇を重ねた。

「・・・・」

 花音が驚きで目を見開く。

 彼女の唇は冷たかった。

 身体も冷え切っていて・・・・。

 俺の体温で花音も温めてやりたい。

 そんな気持ちになった。

 すると、花音の目から涙が零れた。

 彼女の頬を流れる涙を俺は舌ですくい上げて舐める。

「・・・しょっぱい」

 わかってたけど、本当にしょっぱい。 

「・・・何でそんなの舐めるの?」

 俺の言葉に花音がむくれる。
< 217 / 358 >

この作品をシェア

pagetop