不器用なシンデレラ
「理由なんてない。俺がお前を好きなだけ」

「・・・・」

 花音が黙り込む。

 まだ混乱してるのかもしれない。

 だが、もう待てない。

「そして今・・無性に花音が欲しい。意味わかる?」

 花音はちょっと恥ずかしいのか、俯きながらゆっくりと頷く。

 俺が彼女の服のボタンに手を触れると、彼女はハッと息を飲んだ。

 彼女の緊張がわかる。

 1つ1つゆっくりボタンを外していく。

 その間、彼女はずっと月を見ていた。

 彼女の瞳に映る月はとてもきれいだった。

 一糸纏わぬ姿となった花音は、その月よりもきれいだった。

 最初に花音に口付けると、彼女は目を閉じながらキスに応える。
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