不器用なシンデレラ
 段々キスが深くなると、俺は身体を移動させて花音の身体中に口付けた。

 痕が残るように深く。

 静かな月明かりの中、聞こえるのは俺達の息遣いだけ。

 お互いに一つになれた時、何とも言えない気持ちになった。

 花音は初めてだったが、俺を信じて身を任せてくれた。

 疲れ果てて俺の横で眠る花音の身体を優しく抱き締めながら、彼女の耳元でそっと囁く。

「愛してる」

 花音は寝ていてきっと覚えていないだろう。

 それでも言わずにはいられなかった。

 それに花音は知らない。

 今日俺は・・・避妊しなかった。

 本能って怖い。

 俺は苦笑する。

 冷静さに欠けていたとはいえ、今までの俺らしくない。
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