不器用なシンデレラ
 大学時代に行きずりの女とやった時は絶対に避妊してたのに。

 愛してる女が目の前にいると、こんなにおかしくなるのか?

 子供が出来ていいと思ってしまった。

 いや・・・違う。

 出来ろって思った。

 花音を絶対に手放せないから。

 俺は俺を追ってうちの会社に入った彼女を軽蔑なんて出来ない。

「花音、お前は俺の懺悔を聞いたら軽蔑するか?」

 月の光は時に人を狂わす。

 美しい月に俺の本性を暴かれたのかもしれない。

 だが、今夜の花音は手を離すと本当に消えてしまいそうで、抱かずにはいられなかった。

 それは・・・悪い男の言い訳か?

 花音の寝顔を見ながら俺は自嘲した。

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