不器用なシンデレラ
「遊びも程々にしないとそのうち刺されますよ」

『お前も言うね。まあ、悲しい男の性かな』

「一緒にしないで下さい。本田さんのはもう病気ですよ。そんなに寂しいなら長谷部さんに電話でもしたら良いじゃないですか？」

『それが出来れば苦労しないよ。大人の世界はいろいろあるんだよ』

「困った大人ですね。長谷部さんにバレても知りませんよ」

　溜め息交じりに電話を切る。

　長谷部さんも本田さんがこんなんじゃ苦労するだろうな。

　取り敢えず１日早く帰れる。

　それにしても花音に一体何があった？

　多分、彼女に電話しても絶対に口を割らないだろう。

　花音は意外と頑固だ。

　あの母親が彼女を捨てたせいだろうか？

　人に頼ろうとしない。

　だから雅代さんがずっと花音を守ってきたが、その優しい祖母ももういない。
< 225 / 358 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop