不器用なシンデレラ
「花音、お前、1人でどこに行くつもりだ?」 

 だが、俺が絶対にお前を1人になんかさせない。

 させてたまるか。

 それから、本田さんの言う通り馬車馬のように働いた。

 そして、今・・成田からの帰り道。

「いやあ、やっぱビジネスはいいな。シートもいいし、足伸ばせるし。こうして車で送迎もしてもらって」

 足を組んで優雅にシャンパンを飲んでいる本田さんは、このVIP待遇にご満悦だ。

「今回だけ特別です。俺のマイル使いましたから。次にビジネス乗りたければ役員クラスまで出世して下さい」

 そんな本田さんを見て俺は冷ややかに言う。

「厳しいね。僕だって協力したろ。そんな冷たい事言うなら、お前に全部接待任せるぞ」

「接待はあなたの十八番でしょう。他にどこで有能さをアピールするんですか?それに、本田さんだって自分のポケットマネーでビジネスくらい乗れるでしょ?」

 俺が冷淡に言うと、本田さんが一瞬怯んだ。
< 226 / 358 >

この作品をシェア

pagetop