不器用なシンデレラ
「運転手さん、赤坂の料亭胡蝶へお願いします」

「本田さん?」

「B社のエロ部長がよく使うらしい。きっと山下さんはそこにいる。大丈夫だ、きっと間に合う」
 
 本田さんが俺の肩をポンと叩く。

 俺の頭が混乱していても本田さんは冷静だ。

 だが、安心なんて出来ない。

 何かあったら・・・・・。

 最悪の事態を考えずにはいられない。

「なんで1人でB社になんか行ったんだ、あいつは?」 

 自分から危険に飛び込んで・・・・。

 馬鹿だろ。

 もう一層のことどこかに閉じ込めておければいいのに。

「本人には1人ってのは禁止って言ったんだけどね。詳しい事は後で長谷部か山下さんに聞くしかないね」

「今日捕まえたら強制的にうちに連れて帰ります」
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