不器用なシンデレラ
「・・・・。必要ない。そんなこと考える暇があったらさっさと仕事して。もう始業時間とっくに過ぎてる」

「・・・すみません」

 あの夜の少し優しかった理人くんはやっぱり幻だったのだろうか。

 私の事を覚えててくれて家まで送ってくれたのは嬉しかったけど、彼の中で私の存在ってちっちゃなものなんだろうな。

 彼の態度はいつも通り凄く素っ気ない。

 目も合わせてはくれない。

「鷹野、そろそろ行くよ」

 本田さんが理人くんに声をかける。

「はい」

 理人くんが立ち上がって、本田さんと一緒にオフィスを出て行く。

 どうやら今週からこの2人のタッグで取引先を回るらしい。 

「最強コンビよね」

 長谷部さんがポツリと呟く。
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