不器用なシンデレラ
 絶対に。

 心に固く誓う。

 その刹那、俺のスマホが鳴った。

 花音からの着信!

「花音、お前・・・・!」

 すぐに携帯に出ると、花音と50代くらいの男性の声が聞こえてきた。

『あの・・返して下さい』

『他の人を呼ぶ必要はない。僕は君と商談したいんだよ』

『ですから・・・私はまだ新人で商品の説明が十分に出来ないんです』 

『君が今夜僕と酒を飲むだけで、数千万の契約が出来るんだ。いい話だと思わないか?』

 男の耳障りな笑い声が聞こえる。

 まだ、襲われてはいないようだが、この男性の声色からするとそうなるのも時間の問題だ。

「山下さんからなのか?」

 本田さんが小声で聞いてくる。
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