不器用なシンデレラ
「肩たたきとかどう?おばあちゃんは上手だって言ってくれたよ」

「お前は小学生か。それに俺は肩こりするほど年くってない」 

 花音の冗談に笑いながら、彼女の頭を軽く小突く。
 
「やっぱり駄目?でも、私・・・何も持ってないよ」

 自分に自信がないのか花音は俯く。

 本当、自分を過小評価し過ぎ。

 ピアノが上手いとか、料理が上手いとか、老人や子供に優しいとかいろいろあるのに・・・・。

「あるよ」

 他の誰でもないお前しか持ってないもの。

「ないよ。本当に何も持ってない」

 ずっと俯いたままの花音の顎をつかんで上を向かせる。

「お前自身。お前だけで十分」

 この世で1番欲しいもの。

 唯一無二のもの。
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