不器用なシンデレラ
 銭湯?

 女っていう自覚足りなすぎ。

 夜出歩いて、無防備な姿さらして襲われたらどうする?

 全然わかってない。

 小一時間説教したくなる。

「却下。取りあえず、身の回りの物だけ纏めて」

 すでに俺の怒りはMAX。

「え?でも、ここの大家さんは知り合いで家賃も凄く安いの」

 花音の言葉に、俺の堪忍袋の緒がブチっと切れた。

 彼女の言い分もわからないわけではないが、こんなの認められない。

「でもじゃない。夜に銭湯なんて通わせられない。誰かに襲われたらどうするの?俺だってずっと花音を見てられるわけじゃない。こんな生活してたら今日みたいなことは何度も起きるよ。家賃の心配なら家に来ればいいだろ?もう花音専用の部屋をお袋が用意してるし」
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