不器用なシンデレラ
「おばさんは本当におじさんを愛していたんですか?もし、愛してたなら、どうしておじさんが守った大事な命を見捨てるんですか?」

「あの子のせいで主人が亡くなったのよ!あの子は疫病神よ」

「その考え方・・・・救いようがないですね。亡くなったおじさんがそれを聞いたら悲しむでしょう。もし、あなたが花音を少しでも思う気持ちがあるなら、もう彼女の前には姿を見せないで下さい。詩音もです。彼女を苦しめるようなことがあれば俺が許しませんよ」

「あの子はもう私の娘じゃないわ」

「その言葉忘れないで下さいね。失礼します」

 後ろを振り返らずレストランを出る。

 詩音が何か叫んでいたが無視した。

 これ以上、あんな女達に関わりたくない。

 俺はポケットからスマホを取り出すと、花音に電話をかけた。

 5コール鳴っても彼女が出る気配がない。

 諦めて電話を切ろうとすると繋がった。

 だが、出たのは花音ではない。
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