不器用なシンデレラ
「ありがとうございます。もし、俺と花音がここで式を挙げたら、圭吾妬くでしょうか?」

「いや、心から祝福すると思う。もう結婚決まってるの?」

「いろいろあってプロポーズはまだですけど。彼女以外と結婚するつもりはありませんし、他の奴に譲る気もありません」

「鷹野、良い眼してる。日取りが決まったら教えてよ。全面的に協力する。店の良い宣伝にもなるしね」

「ありがとうございます」

「良いワインが手に入ったんだ。久々の再会に乾杯しよう」

 大貫先輩がにっこり微笑む。

 彼がワインセラーの方に消えると、俺のスマホが鳴った。

 見れば本田さんからの着信。

「花音連れ回して何してるんですか?」

 俺が不機嫌さ全開で電話に出ると、本田さんはそんな事はお構いなしに笑い飛ばす。

『あはは、ひょっとして大貫の店にいる?』

「そうですけど」

 俺は無表情で答える。
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