不器用なシンデレラ
 プロポーズの場所は幼稚園。

 自分の中ではずっとそう決めていた。

 幼稚園には花音の好きなものが溢れている。

 子供達の前でプロポーズすれば、さすがの花音も逃げられないだろう。

 早く日本に帰りたい。

 想像するだけで子供みたいにわくわくしてくる。

 指輪は用意してあるし、後は可愛い大事な証人達のへのお土産買って帰るか。

 風船はお袋に用意してもらった。

 愛車に乗って幼稚園に着くと、園児達に風船とお菓子を渡し、花音と一緒にピアノを連弾する。

 彼女はどうして俺がここに来たのかわからなくて、まだ混乱している。

 ピアノをもっと弾いてと騒ぐ園児達を黙らせるため、俺は静かにと言う代わりに人差し指を唇に当てた。
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