不器用なシンデレラ
「今日は、僕は花音先生にプロポーズしに来たんだよ」 

 俺は園児達に向かって優しく微笑む。

「花音先生の王子さまなの?」

 ある女の子が俺の顔をじっと見ながら聞いてくるので、俺は静かに頷いた。

 そして、椅子から立ち上がり、ポケットから指輪の入った箱を取り出して花音の前に跪く。

 花音は今の状況に驚いて声も出ないのか両手で口を押さえている。

「花音、僕と結婚してくれますか?ずっと側にいて欲しい。2人で幸せになろう。返事は?」

 花音の目を見ながら真剣な表情で思いを伝えると、彼女の目が少しずつ潤んでくるのがわかった。

 だが、俺は何も言わず花音の返事を待つ。

 周りの園児達も静かに俺達の様子を見守っている。

 数秒の沈黙の後、花音が涙を浮かべながら返事をした。

 きっと感極まっていたのだろう。
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