不器用なシンデレラ
「みんな・・・!」

 園児を黙らせようとした花音の口を手で塞ぐ。

「子供たちは今日の証人だし、期待には応えないとね」

 花音をもっと困らせたくて俺は意地悪く囁いた。

 この状況を楽しんでいたのは否定できない。

「え、駄目だよ。理人く・・・!」 

 花音の制止を無視して、俺は彼女の唇にそっと口付ける。

 周りの園児達は大興奮だった。

「花音先生、顔真っ赤!」 

 俺のキスで花音の頬は真っ赤に染まり、園児の指摘に彼女は堪らず顔を隠す。

 そういう可愛い事されると益々意地悪したくなるんだけど。

「子供たちまだ納得してないみたいなんだけど、もう一回しとく?」

 また花音の耳元でそう囁いてからかうと、彼女はしゃがみ込んだ。
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