不器用なシンデレラ
 なんでこうなるの?

 契約書どうしよう。

 アポの時間もう過ぎてる。

 とりあえず、山田さんに電話しなきゃ。

 そう思って携帯を取り出せば、充電が切れていた。

「・・・タイミング悪い。この携帯、古すぎてもうバッテリーだめなのかな」

 病院に着いたらすぐに電話しよう。

 この時はそう思ってた。

 でも、病院の救急に運ばれて行くおばあさんが心配で、電話する事も忘れ私は彼女の処置が終わるまで待っていた。

 幸い、ここはおばあさんのかかりつけの病院で担当医もいたらしい。

 処置室の前で待っていると、担当医の先生が出てきて話しかけてくれた。

「安藤さんは落ち着いてますよ。あなたは?」 

「たまたま通りがかった者なんですけど」

 そう言って名刺を先生に差し出す。
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