不器用なシンデレラ
 ボトルはたった10分で空になった。

 それを見たマスターが苦笑している。

「もう1本お願い」

 私が半ばやけくそになって言うと、カウンター席の奥に座ってた男性が私に声をかけて来た。

「僕と一緒にボトルを開けませんか?1人では飲みきれなくて」

 男性が微笑する。

 見目は悪くない。

 着ているスーツもブランドっぽいし、時計も数百万する有名ブランドのもの。

 下心見え見えの男の誘い。

 いつもなら断るが、今日は受けた。

「良いですよ」

 もうどうでも良かった。

 むしろ、喜ぶべきじゃない?

 要との不毛な関係を終わらす事が出来たのだから。

 それからボトルを2本開けて、男性と喋ってても自分が何を言ってるのかわからなくなってきた。
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