不器用なシンデレラ
 でも、今日は何もかも忘れたい。

 要の事を忘れられるなら、このままこの男性に抱かれてもいい。

 本気でそう思った。

「あんな女ったらし、誰が本気で好きになるか!」

 そうくだを巻く私の肩に男性の手が添えられる。

「お菓子なんか甘いだけで栄養ないじゃないのよ!」

「かなり酔ってますね。部屋に行きましょうか?」 

 男性が優しく声をかける。

「僕の部屋から綺麗な夜景が見れますよ」

 男性が私の耳元でそう囁くと、目の前に要が現れた。

「その女、あなたの手に負えないですよ。特に酔っ払った彼女は」

 要がいつもの余裕の笑みを浮かべ、男性の手から私を奪う。

「邪魔しないでくれるかな。僕はこの女性と・・・!」

「邪魔はお前だろ?人の女に手を出すな」

 要が凄みのある眼光で男性を睨み付けると、男性は怯んであっさり私から離れた。
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