不器用なシンデレラ
 あのクールな彩が俺にキレている。

 それって俺が好きだからだろう?

「ふ~ん、要するに俺が見合い相手と上手くいくのが心配で来たわけだよね?もっと素直になったら?」

 腕を組ながら彩を見据えて、意地悪く指摘する。

「勝手に解釈するな!あんたの弟に相談されたからよ。でも、もういい!あんたみたいな女ったらし誰が好きになるか!」
 
 この動揺。

 ホント意地っ張り。

 頭に血が上り過ぎてて本人は気づいてないけど、好きって告白しているようなもんだろ。

 だったら、絶対に彩の口から好きって言わせてみせる。

 山下さんを鷹野に返すと、俺は真っ直ぐホテルの最上階のバーに向かった。

 すでに彩は酩酊状態かもしれない。

 バーに一歩足を踏み入れると、カウンター席に彼女がいた。

 何故か見知らぬ男と一緒だ。

 気に食わない。

 やけになりすぎだろ。
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