不器用なシンデレラ
 何で他の男と一緒に飲むんだよ。

 さあ食べてくださいと言ってるようなもんじゃないか。

 男の方は彩の肩に手を置いて部屋に連れ込む気満々だ。

 ここがホテルじゃなかったら、殴り倒してやりたい。

 その汚い手で俺のに触るな!

 表面上は紳士的に振る舞い、男の手から彩を奪う。

「その女、あなたの手に負えないですよ。特に酔っ払った彼女は」

「邪魔しないでくれるかな。僕はこの女性と・・・!」

 彩との甘い夜を想像していた男は、俺の突然の登場に憤慨する。

「邪魔はお前だろ?人の女に手を出すな」

 部外者が!

 鋭い眼光で男を睨み付ける。

 俺も十代の頃はいろいろ悪さもした。

 こんな見かけだけのクズに負けない。

 そんな俺が危険と思ったのか、男はあっさり彩を諦めた。
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