不器用なシンデレラ
 その程度の気持ちの奴に彩はやれない。

 もうこいつに触れていいのは俺だけだ。

 この独占欲。

 俺も鷹野の事は笑えない。

 彩はもう起きているのも限界だったのか、不機嫌な顔で言う。

「もう寝る」

 それからすぐに俺の腕の中で寝息をたて始めた。

 酒が入るとところ構わず寝る女。

 前に弟の歩と3人で飲んだ時は、彩は気づいたらうちのお風呂で寝てた。

 あの時は、歩に気づかれないようにバスタオルでくるんで自分の寝室に運んだけど・・・・。

 女の裸なんて見慣れてる俺がどれだけ動揺したかなんて彩は知らない。

 それも、彩と関係を持つ前の話。

 彼女も記憶が抜け落ちてたから、この事は俺だけしか知らない。
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