不器用なシンデレラ
 鏡は見ない。

 見る必要もない。

 もう家に帰るだけ・・・・。

 居室に戻ると、長谷部さんが私を見てにっこり笑って言った。

「ひどい顔してる」

「・・・知ってます」

「ずいぶん古い携帯使ってるのね。机の上に充電器があったから充電しといたわよ」

「・・・ありがとうございます」

「まあ、社会人としてはマズかったけど、あなただけの責任じゃないし。元気出しなさい」

「こんな酷いことしちゃってもう元気なんて出ません」 

 私は力無く苦笑する。

「先週絡んだお詫びに、お姉さんが良いこと教えてあげる。その携帯の着信確認してみなさいよ」

「着信?」

 長谷部さんに言われるがまま携帯を手に取り、着信履歴を確認する。
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