不器用なシンデレラ
「しおりがはさんであるところ見てみなよ」

 大貫先輩から雑誌を受け取り、しおりのはさんであるページを開く。

 そのページはアヴィラの特集記事だった。

「・・・圭吾」 

 そこにあるのは、俺宛と思われる遺言。

「俺は多分もう長くは生きられないと思う。もし、理人が俺の代わりにこの街を見てきてくれたら嬉しい。お前の横に花音ちゃんがいれば俺はもっと嬉しい。心から祝福する。もし、まだ告ってないのなら俺に遠慮せず早く告れよ」

 圭吾と似た声と口調で大貫先輩が圭吾の書いた遺言を読み上げる。

 本人がここにいるのではないだろうかと錯覚しそうになる。

 俺の目から一筋の涙が流れて頬を伝った。

 圭吾はどんな思いでこれを書いたんだろう。

 自分の死も覚悟して・・・・。

 それに・・・・俺の事もバレバレだった・・か。
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